中小企業の人手不足を、採用にかぎらず9つの打ち手から考える ─らいぱち合同会社

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採用がうまくいかない本当の理由は、求人原稿でも手法でもない。

2026/5/11 02:12

更新


【この記事の結論】媒体を変えても、原稿を直しても、条件を調整しても結果が変わらないとき、採用の前提が整っていないことが原因になっています。整理しておきたいのは3つ。なぜ今、人を増やしたいのか。その人のどこを評価して採用したいのか。採用以外の選択肢も並べて考えたか。ここが言葉になっていると、面接での判断軸が変わります。

「どの媒体が、いちばん応募が集まりますか?」

この仕事を25年やっていて、おそらく一番多く聞かれてきた質問です。

正直に言うと、答えは「わかりません」になります。会社によって、職種によって、採用したい人の層によって変わるからです。そもそも、どれくらいの応募者を集めたいかという考え方によっても変わります。応募の数を重視するか、少なくても質の高い人に絞るか。その考え方が会社によって違うので、一概には言えないです。

ただ、この質問がよく出てくること自体に、採用がうまくいかない理由が隠れているように感じています。


なかなか決まらないとき、何が起きているか

媒体を変えて、原稿を直して、条件を少し動かす。ところが、結果はあまり変わりません。

採用活動がなかなか進まない会社で、よく似た流れを見てきました。応募が来ない。来ても選考が進まない。やっと内定を出したら辞退された。また最初からやり直し——という状況です。そうなると「媒体が合っていないのかも」「原稿が弱いのかも」「条件を見直した方がいいかも」という話になります。

なぜそうなるのか。


採用を途中で止めた会社の話

応募がなかなか集まらず、採用が決まらない状況が続いて、一度立ち止まって社内で整理し直した結果、採用を中止した会社があります。一社二社の話ではなく、これはわりとあることです。(注意:すべての業種、職種にあてはまる訳ではございません)

変わったのは、採用の前提を問い直したことでした。

「なぜ今、この人数が必要なのか」「その仕事は採用でしか解決できないのか」「今のやり方のまま人を増やすことが本当に正しいのか」——こういう問いに、ちゃんと向き合った。

その結果、採用しないという判断になった、ということです。


経営と現場がズレたまま動いていることの問題

もうひとつ、よく見てきた場面があります。「なんでこのポジションを採用するんだろう」と思いながら、上から指示があったから動いている採用担当者の話です。採用の目的が、経営側と実際に動いている側で共有されていない。

こういう状況では、何を基準に選考すればいいかが担当者にも伝わっていないことが多いです。面接で何を見ればいいかわからない。だから判断が曖昧になる。無駄な動きが増えていきます。

こんなこともありました。1次面接の担当者が最初に設定された条件をもとに選んで上に上げたら、最終的に決まった人が元の条件とは全然違うタイプだった——という流れです。

媒体や原稿の問題ではなく、採用の目的と基準が社内で揃っていないことの問題です。


整理しておきたい3つの問い

媒体を変えても、原稿を直しても、条件を調整しても変わらないとき、たいていの場合、採用の前提が整っていないことが原因になっています。

整理しておきたいのは、次の3点です。

なぜ今、人を増やしたいのか

「人手が足りないから」は理由になりません。何が理由で人手が足りないのか。それは本当に採用で解決できるのか。ここが曖昧なまま動くと「どんな人を採るべきか」が定まらず、求人原稿も曖昧になっていきます。

その人のどこを評価して、採用したいのか

「即戦力が欲しい」「長く続けてくれる人がいい」——これは採用したい人の描写ではなく、願望です。その人が持っている経験や考え方の、具体的にどの部分が自社に必要なのか。入社後3ヶ月でどんな状態になっていてほしいのか。そして、どういったところが自社に合うのか。そこまで言葉にできていると、面接での判断軸が変わります。

採用以外の選択肢も、並べて考えたか

業務の見直し、外部委託、社内の配置転換。こういった選択肢も並べた上で「それでも採用が必要だ」という判断になっているか。採用は組織に新しい人を迎えるという意思決定です。教育・定着・マネジメントのリソースも一緒についてきます。


前提が整うと、何が変わるか

この3つが言葉になっていると、採用活動のいろいろなところが変わります。

求人原稿に「この仕事で何ができるようになるか」が書けるようになります。面接で「この人に任せられるか」が判断しやすくなります。担当者も、何を見ればいいかがわかるようになります。

逆に言えば、ここが整っていないまま手を動かし続けると、また同じところに戻ってきます。


著者:原田 卓次(らいぱち合同会社 代表)
HR・採用支援25年。人手不足に打てる手は9つあり、採用はそのうちの1つという前提で、採用の前の整理から実務まで引き受けています。

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