中小企業の人手不足を、採用にかぎらず9つの打ち手から考える ─らいぱち合同会社

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成功事例、ほんとに参考になりますか?

2026/5/25 04:01

更新

【この記事の結論】事例を真似することに意味がないとは思っていません。ただ、記事に載っているのは背景が揃った上での結果で、うまくいかなかった話は表に出てきません。参考にするなら、「何をやったか」より「なぜその会社がそのタイミングでそれを選んだか」です。他社の事例を探す前に、自社の状況を言葉にしてください。

採用の情報を調べていると、事例がたくさん出てきます。

「この会社は求人媒体を変えたら応募が倍になった」「採用ブランディングで内定承諾率が上がった」「スカウト型に切り替えたら質が上がった」——読んでいると、なんとなく参考になった気がします。うちも同じようにやってみようかと思う。

ただ、少し立ち止まって考えてほしいことがあります。


同じ条件なら、同じ結果は出るかもしれない

HPに載っている事例は、その会社の規模・事業フェーズ・採用担当者の体制・予算・経営者のコミット度——そういったことが揃った上での話です。背景が書かれていることは少ないので、読んでいる方には伝わりにくい。だから「うちでも同じようにできる」と感じてしまいやすい。

事例を真似することが、まったく意味がないとは思っていません。同じ業種で、同じ規模で、同じ採用課題を持っていて、同じタイミングで、同じ予算があるなら——確かに同じ結果が出る可能性はあります。

でも、そういうケースはほとんどないのが実情です。


「あの会社が使ってるなら、うちも」という判断

こういう場面をよく見てきました。「●●媒体で結果が出た会社ありますか?」と聞かれます。「あります」と答えると、「じゃあうちも●●媒体を使います」という流れになる。

媒体を選んだ理由が「他社が結果を出したから」だけになっています。自社の採用したい職種・ターゲット層・予算・運用体制——そういった条件を整理する前に、媒体が決まってしまっています。

こういう判断になりやすいのは、仕方がない部分もあります。採用に関する情報は「うまくいった話」が圧倒的に多く流通しています。「●●媒体で採用できた」という話は広がりやすいので、「その媒体を使えば解決する」という印象になりやすい環境があります。


成功した話しか残らない

もう一つ、事例には構造的な問題があります。うまくいった話は記事になり、事例として残ります。うまくいかなかった話は表に出てきません。

だから「この方法で成功した」という話は世の中に多く出回るけれど、「同じ方法でうまくいかなかった」という話はほとんど目にしない。

読んでいる方には、その方法の成功率が高く見えやすくなっています。


では、何を参考にするか

参考にするとしたら、「何をやったか」よりも「どう考えたか」の部分です。

事例から学ぶことを否定しているわけではありません。その会社はどんな状況で、何を問題だと捉えて、なぜその手段を選んだのか。そこに汎用性があります。

「採用ブランディングをやった」という結論ではなく、「なぜその会社がそのタイミングでそれを選んだか」という意思決定のプロセスの方が、自社に引き寄せて考えやすい。


自社の条件を先に整理する

他社の事例を探す前に、まず自社の状況を言葉にしてほしいというのが、この仕事を長くやってきての実感です。

これが言葉になっていると、事例を見たときに「これはうちに合う」「これは規模感が違う」という判断ができます。言葉になっていないと、どんな事例を読んでも「なんとなく参考になった」で終わります。


著者:原田 卓次(らいぱち合同会社 代表)
HR・採用支援25年。人手不足に打てる手は9つあり、採用はそのうちの1つという前提で、採用の前の整理から実務まで引き受けています。

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